南会津 白森山(1152m)、舟鼻山(1230m)、御前ヶ岳(1233.1m) 2013年3月23日

所要時間 8:27 トンネル北口−−8:47 旧国道−−9:36 白森山 9:41−−10:05 旧国道−−10:42 標高1220m−−10:56 舟鼻山−−12:03 御前ヶ岳(休憩) 12:27−−13:30 舟鼻山−−13:45 旧国道−−13:52 トンネル北口

場所福島県南会津郡下郷町/大沼郡昭和村
年月日2013年3月23日 残雪期日帰り
天候雪時々曇り
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場トンネル北口横
登山道の有無御前ヶ岳はあり。他はたぶん無し
籔の有無残雪期は無し。無雪期はたぶん激藪
危険個所の有無雪の急斜面あり。初心者注意
山頂の展望白森山:無し
舟鼻山:平坦過ぎて無し
御前ヶ岳:あり
コメント 舟鼻トンネル北口より白森山を往復後、舟鼻山経由で御前ヶ岳を往復。最初から最後まで積雪で地面が見えているところはほとんど無かった。最初から最後までブナを中心とした自然林で気持ちいいエリア。天気は朝から雪でガスって視界が悪く、舟鼻山から御前ヶ岳にかけては読図で苦労した。白森山は最後の登りが急。西尾根は笹が出ていたがかなり濃そう。舟鼻山はだだっ広くガスられると方向感覚が無くなる。一応、地形図の1230m標高点が一番高いように感じた。ここから御前ヶ岳へつながる尾根に乗るのは視界が無いと難易度が高い。稀に目印があるがかず少なく参考にならない。御前ヶ岳山頂は小規模な雪庇。北に向かう尾根入口には立入禁止のトラロープが張られていたが夏道があるのかもしれない。




舟鼻トンネル北口 北口の東側に駐車場がある
斜面を適当に登る 旧国道へ向かう
旧国道 ここで旧国道と別れて尾根に乗る
ブナと唐松の尾根 平らで現在位置が把握しにくい
白森山への登りにかかる 尾根に乗るには雪庇を越える
尾根に乗ったら地面が出た個所も 雪庇の続く尾根を西に登る
写真では分からないが、かなりの急斜面 もうすぐ山頂
白森山山頂 山頂西側は激藪
帰りはちょっとだけショートカット この雪庇を降りた
雪庇を横から見たところ。下れる場所は少ない 旧国道再び
ここから舟鼻山に取り付く 目印あり
最初はなだらかな尾根 杉の葉も真っ白
林道を横断 かなりの傾斜を登る。ここで12本爪アイゼン装着
また林道 先人の足跡らしい
肩を越えて傾斜が緩む。ガスって視界無し たま〜に目印あり
舟鼻山1230m標高点付近 平らな尾根を方位磁石を頼りに進む
目的の尾根に乗る 遠くに御前ヶ岳が見えた
1160m鞍部付近 1170m平坦尾根に登る
1170m平坦尾根。視界が無いと方向確認厳しい 御前ヶ岳が近づく
登りにかかる ブナ林が続く
奥の高まりが山頂 雪庇が御前ヶ岳最高点
北斜面には立入禁止のトラロープあり
御前ヶ岳から見た北西の展望
舟鼻山1230m標高点通過 やっとガスが晴れてきた
旧国道 籔は薄そうだ
小さな谷をトンネルへと下る トンネル出口近く
やっと白森山が見えた


 今週も南会津へ。先週の続きではないが、三引山の西側にある舟鼻山周囲の山に向かう。ここには国道400号線の舟鼻山トンネルが通っていて冬季も通行可能なため、アプローチが非常にいい。地形図を見ると東側に白森山、北西には御前ヶ岳があり、まとめて登るのにちょうどいい。ちょっとお手軽すぎの感もあるが、時間が余ったら近くの別の山にも登ればいいだろう。

 天気予報は土曜日は日本海側で雨の予報、会津は微妙か。ネットで見ると午前の早い時間は雪、その後は回復とのこと。雪の中を登ることになるかも。それよりもガスって視界が制限されるほうが恐ろしい。舟鼻山周囲は緩やかな地形が広がり、ただでさえ読図が難しいのに遠くの尾根が見えないと相当苦労するかも。最後の手段のGPSは持って行くが、できれば使いたくない。

 前夜に現地入り。まだ天気は曇りでこのまま推移すればさほど問題にならないはずだったが、朝起きたら雪・・・・。ラジオの天気予報では降水確率20%だったが・・・。テンションは上がらず時間が経過するほど回復傾向のはずなので2度寝して遅い時刻に出発。まだ細かい雪が降っている。量的には大したことはないので山で新雪ラッセルの心配はないだろう。気温は-2℃くらいで雪の締まりはいいと判断、スノーシューではなくワカンを持っていく。

 トンネル東側の斜面から小尾根に乗って登る。最初からブナ林で、これで青空なら気持ちいいのだが。すぐに稜線に乗ったので、これが町村界尾根かと思って左に進んだが、よく見ると奥にもっと高い稜線が見えるではないか。しかも車道らしき筋も。地形図を開くと町村界尾根はその車道(旧国道)がある尾根で、私が今歩いているのは1000m等高線の枝尾根だったのだ。出だしから思いやられる。

 進路を反対に取り、下り気味に進んでから尾根が左に曲がって町村界尾根へ。尾根直上まで登っても鞍部へ下る必要があり無駄になるので、稜線北側を巻く旧国道を歩く。今はトンネルがあるので旧道は除雪されておらず、斜面と同じ傾斜で斜めになっているのでちょっと歩きにくい。すぐに国道は左に曲がって下り始めるので、ここで稜線に取りつく。周囲はカラマツ植林で雪が締まって歩きやすい。

 ちょっと上がると広くなだらかな稜線に変わり、ガスで遠方が見えないのでルートに注意。木が無く広く開けた場所で右に曲がるが、これは視界があれば簡単に判断できただろう。平坦な尾根を進んでいき、尾根が立ち上がる手前で数cm踏み抜くようになるが我慢してツボ足のまま進む。斜度が出てきて上方には雪庇がみられるようになり、場所を選ばないと雪壁で上に出られない。今登っている尾根のてっぺんでもかなり壁っぽくなっているが、壁の途中でブナが生えているのでこれが足がかりになる。せっかくのピッケルもあることだし、ここは正面突破といこう。高さは2m程度、雪は足を蹴り込める硬さで体重も支えられる。もし落ちても危険が無いので安心してよじ登れた。

 ガスった稜線に上って周囲は見えず、ここが山頂かと勘違いしかけたがGPSの電源を入れて現在位置を確認、白森山さんちょうではなく山頂は西だとのお告げ。稜線が西側に続いていて、進んでみるとガスの中からもっと先が高くなっているのが見えた。今いる場所は町村界が急激に屈曲する白森山東側だったわけだ。

 でも山頂まで間近なのは分かった。あとは一直線に登るだけ。最初は緩やかに登っていくが途中で地形図から読める以上の急傾斜が登場、ほとんど雪壁で尾根直上はとても登れそうにない。左右どちらを巻くか考えたが南側から突破を試みる。雪壁だけだったら真面目にアイゼンを装着しないと危険なレベルだが、南側は適度にブナがあってブナ周囲は雪棚状になっていて足がかりになるので大いに助かる。南側だとうまく段差をつなぐ場所もあったりとアイゼン無しでピッケルだけ使って突破することができた。

 その後は白森山山頂まで平凡な尾根が続く。傾斜が無くなると目の前に背丈を越える笹藪が登場、西尾根は籔が出ていたのだった。このレベルだと無雪期はかなり苦労しそうだ。目印、山頂標識は皆無、ガスって周囲の展望もない。西側は藪で見えないだろうが、それ以外の方向は落葉したブナを通して少しだけ見えると思う。

 下りは慎重にルートを見極め、往路とは逆に北側を巻き気味に下った方が少しは傾斜が緩く、下りでもアイゼン無しで通過できた。ただ、雪がもっと締まっていたらアイゼン無しでは無理だったと思う。雪庇の途中、下れそうなところで斜面を下って少しだけショートカット。平坦な町村界尾根に乗ると数cm踏み抜くようになったのでワカン装着。全く踏み抜かなくなった。

 帰路は往路の自分の足跡を追えばいいので気が楽だ。屈曲点も難なく通過、尾根を西に進んで旧国道に降り、そのまま西に進んで国道が峠を越えて南に曲がるところで尾根を直進。カーブミラーは鏡の部分以外は雪に埋もれているので積雪は2〜3m程度らしい。

 最初は緩やかな尾根で目印も見られ、高さ的に残雪期に付けられたものだろう。白森山の尾根では全く目印を見なかったので、舟鼻山は意外と登られているかも。林道直下で傾斜が増して右にトラバース気味に逃げてクリア、林道を横断してなおも登ると尾根がバラけて傾斜がきつくなった。さすがにここは滑ったら止まらなそうなので今シーズン初めて12本爪アイゼンを装着。雪が適度に締まっているので歯ががっちりと雪面を捉えてくれる。直線的に登れる傾斜ではないのでジグザグを切って登っていく。

 再び林道が出現し、法面気味の斜面を登る(下る?)古い足跡が残っていた。先週末のものか、今週平日のものかはわからない。半分新雪に埋もれているので見失うことも多いが、登りはとにかく上を目指せばいいのでルートは気にせず登っていく。ここも尾根形状ではなくだだっ広い斜面なので下りの時は要注意。今日は新雪の上に足跡が残るので帰りの心配はしなくていい。

 やっと傾斜が緩むと舟鼻山山頂台地の一角に到着。三角点は左手に僅かに下ったところにあるはずだが、この積雪では三角点は見つけられるはずがないのでパス、1230m標高点を目指す。台地上に出るとほとんど平坦となるが、西に向かって僅かに登りのように思える。ガスっているので遠くが見えないので感覚が掴めないが、高そうに感じる方向へ進んでいく。ちょうど深いブナ樹林と開けた低い疎林の境目を進んでいく。これは日当たりのいい場所の方が雪が締まって踏み抜かない確率が高いと考えたからだ。稀にピンクのリボンが木に結ばれていて、残雪期のものに違いない。

 どうやら古い足跡も同じルートを通っているようで、たま〜に足跡らしき汚れた雪を見かけた。進んでいってここが一番高そうと感じる場所に到着、GPSの電源を入れると1230m標高点より50mほど東側だが、西側は僅かだが下がっているように見える。まあ、ここ一帯は標高差数10cm程度だろうから、どこでも山頂で問題なかろう。そこは樹林と開けた場所の境界から僅かに開けた場所に飛び出していて、雪に半分埋もれた細い木々が立っているだけ、目印も山頂標識もない。山頂標識があるとしたら三角点のある場所だと思う。

 次は一番遠くにある御前ヶ岳だが、そこにつながる尾根に乗るのが一苦労だ。主稜線はここみたいにだだっ広く、尾根がはっきりするのはそれなりに下ってからで、稜線上からは樹林に覆われていることもあって目的の尾根は視認できないだろう。もっとも。今日の天候では視界が制限されているので見えるはずはない。念のためGPSにチェックポイントを入力してはきたが、それを使わず尾根に乗るのが技術というもの、GPSの電源を切って方位磁石で真西を定めてまっすぐに歩くようにした。真西に向かえば目的の尾根のすぐ近くに出るはずで、近くまで行けば地形が読めるようになる。主稜線から少し下ると北に張り出す尾根や切れ込む谷が出てくるので読図のヒントになる。尾根を2つ越えて3つ目の尾根に取りつくと、その先には平坦な稜線が続いていた。ここと主稜線以外の尾根は、主稜線を離れると急激に高度が落ちるはずなので、目的の尾根に乗ったのは間違いない。

 しかしまだ安心はできない。この尾根を直進したのではNGで、途中で左に入る必要があり、その分岐も平坦地で地形が読みにくい。これも方位磁石で頻繁に方位チェックしながらとなりそうだ。積雪が深いのか林道を乗り越えたはずだが気付かなかった。?m峰を越えて緩く下って鞍部へ。この付近の地形も複雑でどれが主尾根なのか目視では判断に苦しむ。地図を見て一番右のピークを登るようルート取りする。右手だけは急激に高度を下げているので地形が読みやすかった。

 1170m峰への登りは地形図で見るより傾斜があり、上に出ると平坦部が始まる。付近は背の高いブナと低い樹木があるが、低い樹木には例外なく蔓が絡みついていたので、無雪期は酷い蔓藪と思われる。平坦部に出ると樹林越しに明瞭なピークが見えるようになり、それが御前ヶ岳に違いない。ただ、尾根のつながり方が直線的かわからないので、まじめに地形図を読みながら進むしかない。

 平らだがマクロに見て尾根が二手に分かれる個所で左の尾根に入る。疑心暗鬼で進んでいくが尾根は緩やかなままで御前ヶ岳とうまくつながっているらしい。緩やかに下ると樹林を通して御前ヶ岳の麓とつながっているのが確認できて一安心。ずっとブナ林の平坦地が続いたがやっと登りが始まる。斜面の途中で熊棚のような枯葉が枝に付いたままの折れた枝があるブナを見かけたが、形が妙だ。隣に折れたブナがあり、その枝が引っ掛かったのかもしれない。

 傾斜が緩むと奥に小さな雪庇の盛り上がりを確認、間違いなくそれが最高点だった。てっぺんの東から南にかけてはブナ林で、北は急激に高度を落とす斜面、西は立ち木が無い雪原だった。山頂標識が無いのは当たり前だと思っていたが、北斜面には意外なものが。立ち木と立ち木の間にトラロープが張られているではないか。まさか夏道がある? 積雪は1m以上はあるだろうから夏道の有無は確認できなかったが、下山して昭和村に車で入ったら、村内に「御前ヶ岳」の案内看板があったので夏道が存在するのであった。わざわざ残雪期に登ったかいが無かったなぁ。でも舟鼻山などとまとめて登れて効率は良かったかな。

 雪庇の影に隠れて風を避けつつ休憩。天候の回復傾向は一時的だったのか、再び空は雲に覆われて明るさを失っていた。今日は防寒着を多めに持ってきたので問題ないが、気温はお昼なのに-2℃くらいだった。雪が締まって歩きやすいのでありがたい面はあるが。下山前に山頂に一番近いブナの幹にテープを巻いておく。無雪期は何mくらいの高さになるのだろうか。夏道があるということは山頂標識があると考えるのが自然で、今はそれが見当たらないのだから雪に埋もれているのだろう。少なくとも2mは積雪があるのではなかろうか。

 帰路は往路の自分の足跡を追っていけばいいのでルートファインディングは不要で気が楽だ。舟鼻山まではなだらかな尾根が続くが肩から先の下りは急斜面。登りではアイゼンを使用したが、雪質はガチガチに固く凍っているわけではなく表面はクラストし、かかとに力を入れれば雪に刺さるくらいの固さなので、アイゼンを装着するのは面倒なこともあってノーアイゼンで下ることにした。かかとに思いっきり力を入れて雪面にかかとだけを沈ませ、足場を確保する。雪が崩れることもなく順調に下れた。これが痩せ尾根だったらこんな気楽なことはできない。ここは尾根というよりただの斜面で、もし落ちても谷底行きではないしピッケルもある。

 雪に埋もれた林道を横断し、その直下の急斜面もクリア、斜面の傾斜が緩めば安全地帯だ。旧国道に出てそのまま尾根を辿り、右に屈曲して鞍部で左の谷を下る。もうトンネル出口は見えていてゴール間近。最後に踏み抜いてゴール。再び雪が舞っていて、今日は1日寒かった。

 

 

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